2022-03-22

AIMPは無料なのにとても高機能で多機能な音楽プレーヤーソフト。
「DSPの管理」にはイコライザーがあったり、リバーブやコーラスなどの音響効果もあったり、とにかくいたれりつくせりなところがお気に入り。

今回はパソコンの入れ替えに伴って新規にインストールし直したので、この機会にDSPの一歩進んだ楽しみ方もご紹介してみたいと思いますね。

すでにAIMPを愛用している人向けの内容ですけど、これからAIMPを使ってみたいという人のために入手先も最後にご紹介します。

●今回のテーマ●

DSPを使って音楽に好みの音響効果を加える

AIMPには「DSPの管理」という設定項目があって一応DSPプラグインという拡張機能も利用できる仕様になってますが、デフォルトのままでは「(無効)」としか表示されません。

※DSP=デジタル・シグナル・プロセッサ。デジタル信号を処理して音響効果などを施せます。

これを有効にして、音楽制作ソフト(DTM/DAW)で使われているVSTプラグインのエフェクターを利用できるようにしてみます。

※DTM=デスクトップ・ミュージック/DAW=デジタル・オーディオ・ワークステーション

●必要なもの●

  • VSTプラグインを利用できるようにするためのVSTホスト
  • お好みのVSTプラグイン

今回はイコライザーやリバーブなどの音響効果を加えるAmplioというVSTプラグインを使えるようにしてみます。
ただ、AIMPはVSTプラグインを直接読み込むことができないので、まずはVSTプラグインを読み込める仕組みを整えてあげます。そのためには、まずVSTホストとなるDSPプラグインをAIMPに実装してあげなければなりません。

構成はこんな感じになります。

system

●VSTホストの実装●

  • Winamp VST Host をダウンロード
  • 解凍パッケージからVST用のホスト(Winamp VST Host)だけを拝借してAIMPに読み込ませる作業

VSTホストは、実際に音響効果の処理を担うVSTプラグイン側から見た場合の名称なのですが、AIMP側から見ると「VSTプラグインを読み込むためのDSPプラグイン」ということになります。

実はWinAmp用に配布されている「Winamp VST Host」というプラグインがそのままAIMPでも利用できるので、今回はこのプラグインを使わせていただくことにします。

もちろん、WinAmpを使っていない人でも無料でダウンロードすることができます。

入手先はこちら。
Winamp VST Hostをダウンロード

https://www.pcjv.de/?page_id=248

dsp_vst_DL

バージョンはどれでも構いません。
記事を書いている時点では「v.1.1.6」が最新バージョンでしたので、これをダウンロードしました。
以降はこれを基に説明します。

ダウンロードしたファイル(VST_Bridge_v1_6.exe)を実行するとインストールが始まり、次のディレクトリが作成されます。

C:\Program Files (x86)\Winamp\Plugins

このディレクトリ(フォルダ)の中に「dsp_vst.dll」というファイルがあることを確認します。

続いて今度はAIMPがインストールされているフォルダを開きます。

C:\Program Files (x86)\AIMP\Plugins

このフォルダを開くとすでにAIMPをインストールしたときの関連ファイルがたくさんありますので、そこに「dsp_vst」という新しいフォルダーを自分で作ります。

dsp_vst_folder

そして先程ダウンロードしてインストールしたWinAmp用のプラグイン(dsp_vst.dll)をコピーしてきて、AIMP側に新しく自分で作った「dsp_vst」フォルダーの中にペースト(貼り付け)します。

ここまでの作業が終わったら、AIMP音楽プレーヤーを立ち上げてメインメニューの「環境設定」を開きます。ショートカットキーでは[Ctrl]+[P]でも開くことができます。

dsp_vup-25

左側の一覧にある「プラグイン」を選択して、右側ペインのDSPタブを開くと「dsp_vst」というプラグインが現れますので、これにチェックを付けてOKボタンをクリックします。

dsp_vst_include

続けてメインメニューから「DSPの管理」を開きます。

dsp_vup-26

「DSPの管理」のダイアログを開いたら、DSPプラグインのドロップダウンリストから「VST Host DSP v1.1.6 for WinAmp」を選びます。

dsp_vst_select0

DSPプラグインが無事に「VST Host DSP v1.1.6 for WinAmp」になっていれば、ここまでの作業は正常に完了しました。

dsp_vst_select1

DSPプラグインのドロップダウンリストが無い!?(2024/03/23)

dsp_vup-1

AIMPは頻繁にバージョンアップが繰り返されているので、気づいたらレイアウトの変更や機能の追加削除が行われていた、なんてこともあります。

2024年3月23日時点の最新バージョン(v5.30.2541)ではDSPプラグインのドロップダウンリストと「環境設定」のボタンがなくなってしまいました。

実は、新たに独立した「DSP」というタブが追加されていて、そこに VST Host DSP が表示されるようになっています。

dsp_vup-2

左側のチェックボックスにチェックが入っていればVSTホストは有効になり、右側にある工具(レンチ)のマークをクリックすれば、今までの「環境設定」のボタンと同じようにVSTプラグインのダイアログが表示されます。

● ● ●

次に音響効果を加えるためのVSTプラグインを設定していく手順に進むのですが、ここまでの作業ではパソコンの中にまだ何もVSTプラグインが準備されていません。

とりあえずAmplioというVSTプラグインを開発者(VSTZONE)の公式ページからダウンロードしたいのですが、すでに開発が終わってしまって公式ページもありません。

なので、DTM/DAWユーザー向けにVSTプラグインを配布しているPLUGINS4FREEかKVRのサイトに行ってダウンロードします。

ここではPLUGINS4FREEで説明します。

●Amplioの実装●

  • Amplio(VSTプラグイン)をダウンロード
  • AmplioをWinamp VST Hostに読み込ませる作業

PLUGINS4FREEのサイトでAmplio配布ページを開きます。
Amplioをダウンロード

https://plugins4free.com/plugin/1494/

amplio2_DL

下の方にある「Win 32 VST(1.7Mb) V2.0」をクリックして「amplio_2.zip」というファイルをダウンロードします。

このファイルをマイドキュメントなどにとりあえず解凍しておきましょう。
必要なファイルは解凍してできたフォルダーの中の「Amplio2.dll」だけです。

この「Amplio2.dll」を、たとえば「C:」ドライブに「\VST\Amplio」などというフォルダーを作って、そこへ「Amplio2.dll」のファイルを入れてしまっても大丈夫です。

例)C:\VST\Amplio\Amplio2.dll

ここまで終わったらAIMPの「DSPの管理」からDSPプラグインの環境設定を行っていきます。

dsp_vst_select2
①「環境設定」をクリックします。
②ダイアログが表示されたら「VST Plugin」という項目の右側(濃いグレーの空欄)をクリックしてポップアップメニューを表示させます。
③「Load DLL...」というメニューをクリックします。

新しいバージョンのAIMPを使っている人は「DSP」のタブにある「VST Host DSP vXX.XX.XX for WinAmp」の工具(レンチ)マークからVSTホストを開きます。

dsp_vup-2

VSTホストのダイアログが表示されたら「VST Plugin:」の右側にあるグレーのテキストボックスをクリックして、ポップアップメニューの「Load DLL...」をクリックします。

dsp_vup-4


そして、つい先程「Amplio2.dll」を保存したフォルダーを開いて「Amplio2.dll」を選んで「開く(O)」をクリックします。

amplio2_open

これでAmplioが実装され、このようなユーザーインターフェースが現れます。

amplio2_UI

各部の細かいパラメーター設定はあとでゆっくり研究してください。

音響効果のオン(有効化)とオフ(無効化)の切り替え操作

VSTホストを初めてAIMPに読み込んだときはデフォルトで有効化の状態になり、読み込まれているプラグイン(たとえばAmplio)があれば音響効果も有効化されます。

プラグインの音響効果を無効化するときはVSTホストのダイアログを表示させてから、左上にある「VST Plugin:」の表示をクリックすれば無効化できます。ここはクリックするたび無効化と有効化が交互に切り替わります。

dsp_vup-3

VSTホストの方を無効化したいときは、旧バージョンのAIMPならメニューから「DSPの管理」>「サウンド効果」タブ>「DSPプラグイン」ドロップダウンリストの順にたどればVSTホストの「(無効)」を選択できます。

新しいバージョンのAIMPは「DSPの管理」のDSPタブで読み込まれているVSTホストのチェックを外します。

VSTホストを無効化するとAmplioの音響効果も同時に無効化されます。

● ● ●

さしあたって簡単な音響効果を楽しみたいときは「Program」という項目をクリックすると、あらかじめ登録されているプリセットがドロップダウンリストで表示されますので、AIMPを再生しながら好みの音響効果を試してみるのがいいと思います。

amplio2_prg

これでAIMPにDSPプラグインとVSTプラグインを実装する作業は終わりです。

ボーカル曲には調和のとれたOril Riverがおすすめ

上に紹介した Amplio はどちらかというと、のっぺりしがちなシンセサイザー音源などのインストゥルメンタル楽曲にメリハリのある音響効果を与えるのが得意なエフェクターです。

これをアニソンやポップスなどのボーカル曲に使うと、逆にリズム楽器やエレキギターなどの楽器演奏が尖りすぎて、設定次第では酷く耳障りだったり全体の調和が崩れたりして不快な音楽になってしまうことがあります。

ボーカル曲を心地よく聴くには、リズムや音のメリハリよりも反響音などで空間的な広がりや臨場感といった雰囲気を楽しめるエフェクターの方が適しています。

そこで、ボーカル曲をメインに楽しみたいという人には Oril River をおすすめします。

OrilRiver

このプラグインもPLUGINS4FREEからダウンロードできます。
Oril River をダウンロード

https://plugins4free.com/plugin/2538/

Windows用は32ビット用(Win 32 VST)と64ビット用(Win 64 VST)の2種類に分かれていますが、レイテンシーの違いなどはありませんので、お好きな方をダウンロードしてください。

OrilRiver2

OSが32ビット版か64ビット版かというよりも、VSTホストの動作仕様によって相性の良し悪しがあります。VSTホストがどんな挙動をするか心配なら最初から32ビット版(Win 32 VST)を選んだ方が無難です。

Winamp VST Host は32/64ビット両対応なので心配はないのですが、64ビットに対応しない他のVSTホストや動画編集ソフトでも使うことを想定するなら、32ビット版を選んでおけばダウンロードし直すなどの二度手間も省けます。

ダウンロードが完了すると OrilRiver.zip がローカルディスクに保存されていますので、これを解凍します。

解凍後の OrilRiver フォルダの中に「OrilRiver (x86)」というフォルダがあるので、その中の「OrilRiver.dll」を Amplio のときと同じ要領でVSTプラグインの保存用フォルダに移しておくと良いでしょう。

CドライブのVSTフォルダに OrilRiver というフォルダを新規作成して、そこへ OrilRiver.dll を保存すると次のようなディレクトリ構造になります。

C:\VST\OrilRiver\OrilRiver.dll

あとは AIMP の「DSPの管理」を開いて Amplio と同じ手順でプラグインをロードするだけです。

特徴にも少し触れておきます。

Oril River はリバーブと3バンドイコライザーを組み合わせて疑似環境を演出することが得意で、スタジオやコンサートホールなど35種類のプリセットをあらかじめ備えています。

初期反響音(E.R)のバリエーションは12種類、残響音(Reverb)のバリエーションは5種類あり、これらの組み合わせと各質感パラメータのレベル調整によって音空間の違いを作り出します。

次は、音楽プレーヤーのAIMPをこれから試してみたいという人向けに入手先のご紹介です。

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