言葉は時代とともに変化するもの。
確かにそうなんだけど、自分勝手に新しい文字を造ったり独創的な解釈を生み出したりしたら、きっと周囲が困惑するだけだよねぇ。

特に、言葉の「解釈」については油断禁物でして。
もしかしたらだけど、時と場合によっては他人に迷惑をかけたり、最悪は命を危険に晒したりすることだってあるかもしれないし。
いや、ホント、ホント、冗談抜きで。
あ行濁音
近所の古本屋で探しものをしていたときのこと。
旅行関係の雑誌コーナーを見ている風な男2人の会話が、本棚の仕切り越しに聞こえてきて・・・おやおや?と思った。

男A:「外国って禁煙のところ、すっげー多くね?」
男B:「マレーシアとかすぐ罰金取られるって」
男A:「うっそ、マジで?」
男B:「でも、看板見れば罰金とか書いてあるから、わかるって」
男A:「そういやお前、タバコ吸うんだっけ」
男B:「俺?吸わねー」
男A:「そっかー。もしかして今度行くメンバー、吸うの俺だけか」
男B:「あ、ぜんぜん大丈夫。喫煙オーケーのホテルだから」
男A:「グッジョブじゃん」
男B:「大体どこも SMOKE FREE HOTEL って書いてあんだから大丈夫じゃん?ここ、ほら、これとかーーー」
/*/ 注意 /*/ 会話の口調は実際より極端に砕けた調子に変えて、関係ない情報もバッサリ端折ってます(プライバシー云々あると困るしねぇ)

おいおい、本当に大丈夫なのか・・・。
SMOKE FREE HOTEL って、煙のないホテル、つまり禁煙を謳っているホテルのことだぞ。

TAX FREE SHOP とか DUTY FREE SHOP が「税金のかからない」いわゆる免税店のことを意味しているように、~FREE は「~のない」という意味で、決して「ご自由に」じゃないから。

もしかしたら、FINE FOR SMOKING HERE とかいう看板を見つけたら「おぅ!ここなら快適に吸えるんじゃね?」とか、一番ダメなパターンをやらかしそうな予感。
この場合の FINE は「罰金」のことであって、決して「快適」とかいう意味はこれっぽっちもないです。
早い話が「ここでタバコ吸ったら罰金だよ」という看板なわけで・・・あとは無事、帰国できるよう幸運を祈る!!

あと、「すぐ罰金」という話はシンガポールじゃなくて?(ひょっとしてマレーシアもそうなのか、知らんが)

いかにも日本人らしい勘違いだと言ってしまえば、それまでなんだけど。
だけどね、実は過去にフリーズ(freeze)をプリーズ(please)と聞き間違えて日本人留学生が撃ち殺されたという事件があったくらいだから、単なる勘違いでは済まされないこともある。

日本でこのニュースが取り上げられたあと、フリーズという言葉があまりにも話題になって英語学習本のタイトルにもなったくらいだ。→フリーズFreezeの本(amazon)
警官が拳銃を構えて犯人に「フリーズ!」と叫んでいるシーンを洋画などで観たことがある人はわかるだろうけど、これは「動くな!動くと撃つぞ!」の意味なんだよね。

コワイでしょ?

ついでなので、日本人のよくやりがちな間違いについてもちょこっと。
たとえば、頑張って英文のサイトを作っている人の中には、こんなことを書いている人がいる。

This site is link free.

日本人の感覚なら「このサイトはリンクフリーです」つまり「ご自由にリンクをお張りください」といったところなんでしょう。
でも、この文が持つ意味合いとしては「このサイトはどこからもリンクされていません」という、言わば謎掛けみたいな文になってしまってる。

そのウェブページを見に来た欧米人は一瞬、固まるかもしれない。
「えっと、自分はどこからこのページにたどり着いたんだっけ」と。

もし、どうしても正しく意味を伝えたいのなら、

Feel free to add links to my website.

とでも書くしかない。
add を make にしても意味は通じる。
link を動詞として使うなら

Feel free to link to my website.

と、シンプルにしてもいい。
もっと丁寧に伝えたいなら文頭に Please を付けてもいい。

だけど、ですね!!
問題はそこじゃないんです。

もともと「ウェブサイトのリンクは自由だ」という意識が圧倒的多数の欧米人には、リンクするのにもいちいち確認や許可を取りたがる日本人独特の感覚(美意識?それとも礼儀?)が理解できないと思うんです。
だから、せっかく丁寧に「リンクはご自由に」と書いたところで、何のために書いたものなのか欧米人にはさっぱり理解できないだろうなと(勝手な推測ですが)。

面倒くさい話だけど、欧米人向けに情報発信するなら比較文化論的な補足も付け加えておかないと、この日本人的発想に基づく「リンクはご自由に」の真意は汲み取ってもらえないと思った方がいいかもしれない。

ということで、わざわざ英文に訳すのは無益なので、「リンクフリー」はカタカナ表記且つ日本語圏限定の「習わし」と考えておきましょ。

Thank you for mentioning and linking to my blog.

人気ブログランキング